ボーイズラブ作品の感想ブログです。すきだなぁと思ったものについての他愛ないおしゃべりを置いてます。



拍手お礼

◆8/27、青い方程式に拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/26、リンゴが落ちても〜 に拍手下さった方、ありがとうございました。雨の結び目をほどいてに拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/22、Hybrid Childに拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/19、間に合わなかった…100冊に拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/17、不器用なサイレントに拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/15、窮鼠〜 に拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/14、リンゴが落ちても〜 に拍手下さった方、ありがとうございました。◆8/3、きみが恋に堕ちる、窮鼠はチーズの〜 に拍手下さった方、ありがとうございました。◆7月以前に頂いた拍手のお礼は、それぞれの記事の中に移させて頂きました。感謝。



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下(した)

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BL歴(たぶん)7年目の主婦。好きな本の感想を、好き勝手なタイミングで時々更新。こんな気ままなブログへご訪問下さってありがとう。

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しのぶれど
(和泉桂/高宮東/ビーボーイノベルズ/リブレ出版)


しばらく音沙汰なしで相すみません。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

こちら、先月4月の新刊。発売されて直ぐ買っていました。これ、雑誌掲載時に読んでいて好きだなぁと思って、ノベルズ化をずっと待っていたんです。でもなかなか本にならなくて(ビブロスは潰れちゃったし)、こういうお話は今いちマイナーなのかなぁって落ち込んでました。ありがとう、リブレ。ちゃんと本にしてくれて嬉しい。まだ自分もターゲット購読者層の中にいるのだと胸を撫で下ろしました(ホ)。

青年実業家×小説家。大正時代風味。受視点。
筆を取る人間の情熱と苦悩。

クール攻× ……受の性格カテゴリがむずかしい。ツンデレ受と言い切るほどはツンツンしていない気がするし。う〜ん。

自分は常に作品を楽しませてもらうだけの読者なので、書き手さんには憧れと尊敬の気持ちを抱いてしまいます。だから、こういう小説家の業みたいなものを描かれると非常にヨワイ。ころり参っちゃいます。

お話はこんなかんじかな?
スランプに陥っている小説家(受)が、自分の嫉妬と羨望の対象であるひとりの歌人(攻のもう一つの正体)に会ってみたいとつよく願って、知り合いの編集者に橋渡しを頼みます。実際に会って当の歌人が自分の想像と違うことを知り、失望したり反発したりしながらもだんだんと惹かれていって――。

あらすじに攻のセリフで
「作品のためなら、悪魔にも魂を売り渡す。それが芸術家というものだ」
とありますが、作中にある他の(攻の)セリフの方が私には心に響きました。
「創作なんて高尚なものじゃなくていい。血と肉を備えた人間が、己の内側にあるものを吐き出す行為だ。おまえの書いた作品が、露出狂の告白であって何が悪い?」
(54〜55ページ)
攻はそう言って、少しづつ受の心を剥き出しにしていきます。そのやり方というのがいわゆる視姦シチュ。最初は受自身に服を脱がせ、肌を晒させて目の前に立たすだけ。次は、攻自身は襖の向こうに居て、受に自慰を強いる。いずれも攻は指一本触れずただ受の中から欲望を引きずり出し、受自身にそれと向かい合せようとします。
「人は肉と魂を備えてこそ人間なんだ。どれほどの高みを目指そうとも、肉体がある限りは人は人でしかない。だからこそ、文学者は己の心を解体し、欲望や心性をさらけ出すことで人の業を描かなくてはならない。暴かれることを恐れては何も生み出せはしない」
――なるほど、なるほど。高尚な文学論は分かりませんが、この攻のアプローチの仕方はステキです

淡々として次々と言葉責めをくり出すクールな攻さま。冷たいよりもあっさりといった攻の独特の雰囲気が高宮東さんのイラストとぴったりだと思いました。受もプライド高そうでいて実は素直そうなかんじが挿絵の雰囲気と合っていました。

葛藤モノって重くなりがちですが、作者の和泉桂さんはいつもこの手のお話を甘く美味しくまとめてくれるので安心して読めます。主役カップルを引き離そうとする対外的圧力がないからかな? あからさまな邪魔者や押し付けがましいキューピッドが出てこないのでストレスを感じません。口うるさい文壇や高慢な同業者といったモブキャラは出ますが、受も攻もあっさり流しています。編集や受の師事する先生といった脇キャラもさらりと描かれているので、設定や展開の割にほのぼのとした印象の残るお話でした。ちなみに、二人が絵画展に出かけて同じ絵に惹かれるエピソードがありましたが、その際の受の心の移り変わりが私はいいなと思いました。

書き下ろし「きみがため」では、二人の作品を雑誌にコラボ掲載する企画が持ち上がります(この辺り、ビブロスがコラボ企画を十八番とすることを思い出して、ちょっと面白かったです)。
受は尚、創作という生みの苦しみに悩み続けます。嵐のような感情のうねりから何かを孕み、それが言葉として生れ落ちる瞬間を待つ――この描写がとても印象的でした。

作家としての深い業を抱える受は、ときに攻の存在を追いやって執筆に没頭します。表題作が攻に振り回される受、書き下ろしが受に振り回される攻(ただし、どちらも受視点)のお話といったところでしょうか。

そうそう、清澗寺家の名前がちらっとだけ出てきました。来月のリンクス・ノベルズの予定に「夜はなおも狂おしく(仮)」というタイトルの本(円陣さん挿絵)があるようなので、清澗寺シリーズの番外編かな?と期待しています。

あのシリーズが大好きな私ですが、この本も同じくらいお気に入りになりました。ノベルズにしてくれて、本当にありがとう。リブレ。今月から木原さんのWEEDシリーズ新装版も出ることだし、またちょっとご縁が続くことになります。自分のような読者層も忘れないで、とひっそりお祈りしておこう…。そしてもう一つ、その名が消えかかっている某作家さんの行く末についても祈願。

「腸を引きちぎり、血と肉にまみれてもなお、書くことへの渇望が残っているならば、俺のところへ来い」
(41ページ)
リブレには、オトコマエ攻(もしくは受)をつよく希望。